「日本とお金」 成田由加里 of 大和美人

『大和美人』とはグローバル化の進む現代の日本社会のなかで、女性がより豊かに美しく誇りをもって暮らすことを目的に設立した非営利団体です。


ここでは『現代の大和美人』と称して、大和美人の活動に賛同していただいている
現在活躍中の身近な大和美人をご紹介します。

「リッツ・カールトンとホームレス」 


日本人は世界の中で金持ちか?ときかれれば、「金持ちだ」と答える人が大半だろう。実際世界の総個人資産の4割を保有する上位1%の富裕層の20%がこの日本に住んでいるといわれている。日本全体で1570兆円の個人資産をどのように使ってもらうか、あの手この手で戦略が展開されているのである。

narita_p01.jpg富裕層に指示され、最高のホスピタリティを提供するといわれるリッツ・カールトンホテル。富裕層でなはくても、「一度は泊まってシンデレラガールになってみたい♪」という女性は、私も含めて沢山いるはずである。実際大阪のリッツ・カールトンに足を運んでみると、そこにはうっとりとする優雅な空間と時間が約束されている。

そこから、一歩外に出て周りを見てみよう。高速道路の下、公園の中にブルーシートやダンボールでできたホームレスの仮の住まいが目に入るだろう。ちゃんとしたアウトドア用のテントでさえ、一度経験してみるとわかるのだが、寝ていれば蚊取り線香をたいていても蚊に刺されることもあるし、真夏などは暑さと湿気がひどくて、眠れないこともある。まして、ただのビニールシートであれば、雨が降れば泥だらけ、蚊どころか虫や鼠が這い回るだろうということも容易に想像できる。それにこのビニールシートは、案外やぶれることも少なくない。

そんなことをいうと「そんな光景は昔からあったし、格差というのはいたしかたないものなんだ」という主張が聞こえてくる。この主張は間違ってはいない。ただ、私たちが決して見逃してはいけないのは、こうした貧困が豊かな日本の中にあって着実に増えているということ、その貧困はさらに貧困を呼ぶという悪循環が生まれつつあるということである。

貧困は発展途上国だけの問題ではない。この豊かな日本の中に存在している。「自分はフツーに暮らしていけてるから、関係ないよ。貧乏になるのは自業自得だよ。」と悠長にいっている場合ではない。個人の問題のレベルではなく社会構造上の問題のレベルに達していると考えざるを得ない。例えば、生活保護世帯数が増えた場合、そのお金は誰が負担するのかとういことだけでも考えれば、関係ないことはないということがわかるだろう。構造的にバランスが崩れつつあるのであるから、その社会構造に組み込まれている「自分」だって「自分だけしっかり稼げばあとは関係ない」ということは、成り立たないと考えるほうが自然である。

社会構造を変革するなんて・・


だからといって歪みつつある社会構造を一個人がどうにかしようなんてムリ!と、考えるのはフツーのことかもしれない。政治家や官僚に任せておくか、強力なリーダーシップのある誰かに任せるしかないんじゃないの?それが彼らの使命なんだからという意見もあるかもしれない。でも少し考えてみよう。自分の足の骨が折れた時にギブスをして優しく手当てするように、社会の中で、骨を折っている人がいたら手をのばし優しくケアするのは自然のことである。社会の中で調和しながらしか生きていけない私たちである以上、社会の弱いところを直し崩れた調和を元にもどしていくことが望まれている。

シアワセなことに今の世の中、坂本竜馬になれなくても、一個人の力が集まれば坂本竜馬のような大きな力になれる可能性がある。例えばネットの力でスーパースターでなくとも個人の力を集めて大きな力となる可能性がある。

アタマではわかっていてもどう行動するか?


まずは、日本の貧困は構造上の問題だと思って周りで何が起こっているかをアンテナをしっかり立てて認識してみる。例えば同級生はネットカフェ難民になっていないか、ワーキングプアになっていないか、ホームレスになっていないか、気にしてみる。生活保護といったセーフティネットがあるのに、なぜホームレスを選択しているのか?仕事が嫌いなだけじゃないのか?と思うことがあるかもしれない。実は、生活保護は、住所が不定だともらえない。ホームレスをやめて自立支援センターに入居しても、そこは仮の住まいということで、やはり、生活保護を受けることはできない。たとえ、定職につくことができたとしても、1ヶ月後の給料日までの生活費がないということが彼らの高いハードルだったりする。そのようなことは、あまり知られていない。

貧困は構造上の問題だと知った上でフツーの私たちに現実的に何ができるか?自分の生活をキープしながらできることをしてみよう。例えば、支援団体にお金を出してみる。お財布からあなたの諭吉様が人助けに旅立つとき、諭吉様は喜んでいくだろう。

私たちには、次世代に調和のとれた社会を引き継ぐ使命がある。そして紛れもなく、歪んだ構造を変えていく力ももっている。ドラゴンボールというアニメに出てくる「元気玉」は、地球人の小さな気を集めて作られる。小さな玉は巨大な玉になり、主人公が倒すことができなかった強い敵を消滅させる。これは、夢物語のようだが、私たちも大きな元気玉をつくるべき時を迎えているのである。

成田由加里(なりた・ゆかり)

公認会計士・税理士
東北大学公認会計大学院准教授
成田由加里公認会計士事務所代表取締役


narita_yukari-thumb.jpg